猫の腎臓病・尿路結石 #2 結石注意報の際は皮下補液の早期対処で閉塞予防!
前回の記事では「元気だけど気がかりな症状」をいくつか書きましたが、自宅での簡易尿検査で白血球が検出されたので、その後すぐにかかりつけのホームドクターのもとへ行きました。
結果から言うと、持病の尿路結石が影響している可能性が高いです。
大きな病院で精密検査をしても、オリオンが患っている結石は「閉塞してからの手術」以外に治療法がありません。(療法食では溶けないシュウ酸カルシウム結石です)

まだ本人の元気や食欲もあり、閉塞はしていないのでホームドクターのもと、何度も命を救われた「皮下補液での治療」で様子を見ることになりました。
今回は、「結石注意報」の際の早期対処と「皮下補液」についてお話しします。
※オリオンの場合の事例なので、結石の疑いがある場合は主治医とよく相談してください。
インスタやTwitterではお友達からたくさんのお見舞いコメントをいただきました。2017年に結石による「尿管閉塞」で手術入院を経験した事も知っている方が多いので、「みんな見守ってくれている…!」という気持ちになりました。
その時のエピソードはこちらから👉🏽 【まとめ】猫のオリオンの尿路結石記録
INDEX
おしっこの採取失敗!そこから感じる嫌な予感

オリオンは元気でも、半年に1度はホームドクターの動物病院で簡易的な尿検査をしています。(そのほかに自宅簡易検査もしています。)
猫トイレで採取した、猫砂の混じった尿でもできる、試験紙と顕微鏡目視による検査です。処置室で行うので家族(飼い主)も一緒に見ることができます。
尿検査についてはこちらの記事にも詳しく書きました!
👉 カンタン!尿検査用の猫のおしっこをとる方法
👉 どんな方法があるの?猫の尿検査について
オリオンは上記の「カンタン!尿検査用の猫のおしっこをとる方法」で毎回おしっこを採取しているのですが、今回は尿量が少なく2回も失敗…!
この「1回の尿量の少なさ」は尿路結石経験者ならゾクッとするはず。
「どこかでおしっこが詰まりかけているのではないか…」そんな不安がよぎります。
動物病院での抗生物質処方と皮下補液処置
おしっこはまた後日持っていけばいいや!ということで、動物病院へ!
その旨を伝えて自宅での簡易検査結果を見てもらい、尿から「白血球が検出されている」ので抗生物質を処方してみてもらうことに。
私はちょっと右腕に障がいがあり錠剤投与が難しいので、つぶして粉薬にしてもらいました。
白血球検出については前回の記事に書きました。
👉 猫の腎臓病・尿路結石 #1 元気だけど気がかりな体の変化

ちなみにお薬はアイシアの商品でポタージュ状の「健康缶」パウチを適量混ぜて与えています。
先にポタージュを温めると美味しい香りがするのでよく食べてくれます。
残った分は小さなタッパーに入れて冷蔵・冷凍しています。
👉🏽 粉薬の上手な与え方はこちらに記事にしました
(顆粒サプリでの例ですが、同じ方法で与えられます)
「頻尿」「尿のきつい臭い」といった症状が無いので、膀胱炎ではなさそうとの事。
獣医師も新たな結石の発生か、腎臓病の悪化ではないかと読んでいました。
こんな時オリオンは皮下補液をしてもらいます。
背中から輸液を入れるこの処置(点滴みたいな感じ)はオリオンの体重5kgなら通常200mlが適量です。この先生流の皮下補液は症状に合わせて500ml入れる事もあります。

これは他の病院なら断られる事もある量ですが、この大量の皮下補液治療でオリオンは何度も救われました。(補液の量によっては心臓に負担がかかる事もあるため、医師の判断が必要です。)
この時は結石による尿路閉塞の心配があったので500ml入れてもらいました。
家に帰るとオリオンは元気に駆け回り、おしっこもザバザバとしてくれました。
(2日間ほど、1日4回のおしっこが出ました)
皮下補液の補足
オリオンが過去に尿管結石の手術をした、各分野の専門獣医師がたくさんいるような大きな病院では、「皮下補液自体は効果が認められるわけではない」と言われました。
注入しているのは輸液であり「何かを治療する」効果があるわけではないのでそれもそうなのですが、過去に皮下補液によっておしっこがザバザバ出ると、詰まりかけていた細かい結石が出たのか、体調不良が治り元気になったことがありました。
以前腎不全と尿毒症で死にかけた時も、持ち直したキッカケは大量の皮下補液でした。そんなわけで私は皮下補液頼りなのです。
その時のエピソードはこちらに書きました!
👉 猫のオリオンの腎臓病記録 #4 回復のカギは皮下補液とおしっこ
猫のオリオンの腎臓病記録 #4 回復のカギは皮下補液とおしっこ
2015年5月28日の深夜(29日)、腎不全・尿毒症で夜間救急動物病院で一命をとりとめたオリオンは、 6月に入り回復の兆しがあり ました。 「治らない病」である腎臓病と診断されたご家族は大変辛い気持ちですが、「寛解する」という可能性だって十分にあり得ます。 希望を捨てずに、猫ちゃんに寄り添ってあげてくださいね。 オリオンが腎不全発作を起こした時のことはこちらに記事にしました。👉 …
腎臓の数値の微妙な上昇、原因は腎臓か、結石か…
今回の血液検査は採血量が少なかった(大暴れして取れなかった)ので、腎臓パネルのみを検査してもらうことに。
数値的には最も重視すべきCRE(クレアチニン)が正常値ギリギリ、もうひとつのBUNは正常値を少しオーバーしていました。

このくらいの数値、以前腎不全を起こした際のCRE 14.7 / BUN 140以上(計測不能)という酷い数値の頃から見れば小さな上昇です。
腎臓病を患って4年以上元気に過ごしているオリオン、多少病状が進行しているのであればそれは仕方がないのかもしれません。
でも、結石となれば状態によっては緊急処置をしないと命に関わります。
腎臓の悪い猫にとってはなおさら危険です。
また別記事で詳しく書く予定ですが、オリオンは過去に「尿管」の閉塞による手術を受けました。これは「尿道」閉塞よりもとてもレアなケースだそうで、ホームドクターでは処置できないそうです。(その当時は専門医がいる「2次診療病院」での緊急手術となりました。)
また「尿管」で結石が詰まってしまったら…私はこれが一番怖いです。
次回の通院でおしっこを持って行った際に、私は早めに病院へ行ってよかった!と痛感することになります。そのお話はまた次回に。
ちなみにオリオンのごはんはロイヤルカナンの腎臓病療法食です。
結石用のphコントロールフードじゃないの?と思う方もいるかもですが、オリオンが患っているのはシュウ酸カルシウム結石。フードでの治療は困難だそうです…。
腎臓病のケアを優先するために腎臓病療法食を食べています。
結石を患ってからは水分を多くとった方が良いのでウェットフードを中心にしています。
追記:2020年現在は、シュウ酸カルシウム結石にも効果がみられると言われるロイヤルカナンのユリナリーケア療法食と、サプリを与えています。
👉🏽 詳しくはこちらに記事にしました
あとがき:久々の通院でストレスになってしまったオリオン

いつもならかかりつけの動物病院では診察室に呼ばれるまではノビノビと過ごしていたオリオンですが、今回は4ヶ月ぶりとちょっと久々の通院だったせいか、緊張していました。肉球は汗をかいて、鼻がヒクヒクして耳も熱くなっていました。
皮下補液や血液検査も暴れるけれど慣れっこなので、病院から帰った後も元気に過ごしていたのですが…夜になるとウロウロと落ち着きなくずっと歩いていたり、我を忘れたようにグルーミングを延々と続けていたりとちょっと心配でした。
以前も「猫の過敏症状」について記事をアップしましたが、これはストレスによるものだそうです。
👉 【動画つき】猫の体調不良の7つのサイン
早くよくなりますように…
次の記事はこちら👉 #3 おしっこの検査で結石悪化が濃厚な結果に…
ひとつ前の記事はこちら👉 #1 元気だけど気がかりな体の変化
【まとめ】猫の腎臓病・尿路結石の闘病記録
シュウ酸カルシウム結石の再発を診断されたオリオン、皮下補液による対処治療で元気に回復するまでをまとめました。